植木等師が「サブちゃんも色々考えてたんだな」と笑顔で…【石倉三郎 粋に活きてえなぁ】

2021/06/11 00:26配信【日刊ゲンダイ】

植木等さん(C)日刊ゲンダイ 植木等さん(C)日刊ゲンダイ

【石倉三郎 粋に活きてえなぁ】#10

 喜劇役者になれれば良いナアー、なんぞと十七、八才の頃からボーっと漠然と思っていたんでしょうな。大阪から上京する時、まあ小さい劇団を受ける為だったんですがネ、アワよくば三木のり平師に弟子入りする、なんてチャラチャラ考えてまして。

 何故植木等師ではなく、のり平師なのか。もうガキの頃からのり平師一本だったんですが、中学に入った頃からクレイジーキャッツがデビューですかな。ヤッパリ歌ってコントしてなんてのは、ハデやかで乗りますわな。で、こりゃもう植木等だぜ! なんて全く素人の傲慢さという奴で、のり平師から植木師に乗り替えて、イヤまてよ、ヤッパリクレイジーキャッツはハデ過ぎかなあ、ここはジックリとやっぱ、のり平だろう、なんてセコな頭でアーでもないコーでもないと、日々悶々としていて。

 近所の友達はと云えば、皆それぞれ学業に社会にと、真面目にやっているし、ヤッパリ芸能界に行くなんぞ、正気の沙汰じゃないなあ。俺のようにバカでオッチョコチョイだから、あんなハデな世界に憧れんのかなあ、ウンそうだろな。イヤしかし、このまま会社勤めしても、ウダツは上がらないし、第一学歴がないんだから生涯知れたもんだ。オー! やっぱヤルシカない! ヤレーヤレ! てな塩梅で。

 で、ある日毎週一番の楽しみのシャボン玉ホリデーというテレビ番組、クレイジーキャッツとザ・ピーナッツという当時最高人気で、このヴァラエティ番組に、当時植木等師の付き人兼運転手の小松政夫サンが出ていて、その凄さ、いや圧倒されましてネ。あ、こんな凄い人が植木さんの弟子にいる、これゃ俺なんか、とてもじゃないが、駄目だー! あのスター揃いの中で見事に居場所を見付けている。よくあんな堂々とやれるもんだ凄い! これでスッカリ植木師を諦めることができまして、ヨシやっぱりのり平師だ! なんぞと実にどうもバカな素人の傲慢。結局オレはハデ好きじゃないんだな。シカシやりてえなあ。まあとりあえずチョボチョボやって行くしかネーナと思い花のお江戸へとノコノコやって来た訳であります。

 今想い返すと、植木等師にもドラマで何度か共演させて頂くという栄誉にも恵まれ、一連のアタシの話を、笑いながら聞いて戴き、そうかそうか、サブちゃんも色々考えてたんだ、なんてアノ笑顔で仰ってくれて、アノ十代の頃のアタクシに、云ってやりたいですよ。馬鹿でも何ンでも、その道を歩いてりゃ良い事もあるんですな。


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