林大地「何が何でも決めてやるんだって気持ちは常に持っている」【東京五輪代表戦士たちの現在地】

2021/06/11 00:26配信【日刊ゲンダイ】

FW上田(左)と一緒にリラックスした表情でランニング調整を行うFW林(右)/撮影=元川悦子 FW上田(左)と一緒にリラックスした表情でランニング調整を行うFW林(右)/撮影=元川悦子

【東京五輪代表戦士たちの現在地】

 林大地(24歳・サガン鳥栖・FW)

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 本田圭佑(ネフチ・バクー)、昌子源(G大阪)、鎌田大地(フランクフルト)。日本代表で活躍した面々に共通するのは「ガンバ大阪ジュニアユースからユースに上がれなかった選手」。

 U-24日本代表の林大地も、同じ系譜を辿っている。

「中学の頃はほとんど試合に出ていなかった。律(堂安=ビーレフェルト)は1つ下なのに僕らの代に食い込んで試合に出ていた」と劣等感に打ちひしがれた男がこだわったのはゴールだけ。成り上がった男は、東京五輪ラストチャンスの12日のU-24ジャマイカ戦(豊田)で一発回答を狙う。

 大阪体育大学から2019年に鳥栖入り。頭角を表したのが、コロナ禍の2020年だった。プロ2年目の野獣系FWはJ1・31試合出場9ゴールという好成績を残し、存在感をアピールしてみせた。

 もちろん森保一、横内昭展両監督は彼の動向を注目していたが、同年12月のU-23日本代表候補合宿(千葉)は招集なし。今年3月のU-24アルゼンチン2連戦も、最初はリストに名を連ねることはなかった。

 しかし、上田綺世(鹿島)と前田大然(横浜)が揃ってケガで見送りとなり、堂安も軽度の脳震盪で急きょ不参加が決定。追加招集という形でチャンスが回ってきたのだ。

■勝負強さは折り紙付き

 そこで結果を出してしまうのだから、勝負強さは折り紙付きだ。

 日本が強豪のアルゼンチンを下した北九州での2戦目にスタメン出場。瀬古歩夢(C大阪)のタテパスに反応し、鋭い抜け出しからゴールを決めた。そして凄まじい形相で雄叫びを上げた。

 その様子からつけられた愛称は「ビースト(野獣)」。鳥栖も公式HP上に「ニックネーム=ビーストハヤシ」と堂々と記載し、5月22日の鹿島戦では、猛然とゴールに突き進む彼の一挙手一投足を間近で見られる「林大地BEASTシート」を限定で30席販売するほど、23歳の点取り屋をプッシュしている。

「闘争心を前面に押し出す、そのスタイルが大好き」とA代表のチームメート山根視来(川崎)に言わしめる彼だが、ここまでの歩みはスター街道とは無縁だった。

 その最たるものが、前述したガンバ大阪ジュニアユース時代だ。

 1学年上に井手口陽介(G大阪)や鎌田、同期に初瀬亮(神戸)、1学年下に堂安、食野亮太郎(リオ・アヴェ)といったエリートひしめく環境で挫折を味わった。

「性格は明るくて頑張るタイプでしたけど、少し技術が足りなかった。やや荒削りの一面があった」と当時の育成関係者が証言する通り、ユースには昇格できなかった。その後、履正社高校を経て大阪体育大で努力を重ね、2019年ユニバーシアード(ナポリ)優勝メンバーの仲間入りを果たした。上田、三笘薫、旗手怜央(ともに川崎)はその同僚。当時から森保監督に引っ張られていた彼らとは差があったが、2年がかりで東京五輪に手が届きそうなところまで来た。

「自分が五輪代表に近付くには、やはり得点しかない。律もこの前のガーナ戦(5日=福岡)でゴールを決めているし、FWが評価されるのは得点。『何が何でも決めてやるんだ』って気持ちは常に持ってます。勝ってる時、負けている時は関係ない。生き残ろうと思うならそういう気持ちは絶対に必要。ビーストと呼ばれるのも嬉しいです」

 今時の若者でここまで野心を表に出すタイプは珍しい。だからこそ、好感が持てる。

 かつて日本代表のエースFWとして君臨した中山雅史(磐田コーチ)、岡崎慎司(ウエスカ)に通じる泥臭いゴールが似合う男には、まだまだ伸びしろがありそうだ。

 偉大な先輩たちのようにA代表に上り詰めるためにも、是が非でも東京五輪代表の座をつかまなければならない。

 3日のA代表戦、続くガーナ戦で不発に終わった林に残されたチャンスは、あと1回のみ。それを生かすか殺すか。全ては彼次第だ。

(元川悦子/サッカージャーナリスト)


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