橋幸夫は「誰かが先陣を切らなければ」と…歌手引退宣言が歌謡界にもたらす影響

2021/10/14 00:26配信【日刊ゲンダイ】

橋幸夫(C)日刊ゲンダイ 橋幸夫(C)日刊ゲンダイ

【芸能界クロスロード】

 スポーツ界に芸能界と、にわかに引退ラッシュだ。横綱・白鵬は「右膝のケガ」、日本ハムの斎藤佑樹は「ケガに悩まされて」と共にケガを理由に引退。体が資本のスポーツ界だけにわかりやすい。ファンも惜しみながらも拍手で送り出す。

 引退後も現役時代の活躍・人気によって前途も明るい。白鵬は親方になることが決定している。斎藤はプロとしての実績は芳しくなかったが、高校時代からの人気は折り紙付きで、解説者だけでなく、タレントとしてテレビ界からのオファーは必定という。

「長嶋一茂や松岡修造のようにスポーツ選手はさわやかで個性的な面白キャラを持っている人もいる」(テレビ関係者)

 斎藤も大化けの可能性を秘めている。

 一方、芸能界は理由も引退方法もさまざまだ。結婚を機に、山口百恵さんのように芸能界から引退を発表したフリーアナの夏目三久。相手は売れっ子の有吉弘行。注目度は増し夏目自身の番組は“結婚特需”で半年近くにわたり盛り上がりを見せていた。

「女性は結婚が引退のきっかけになるが、育児が落ち着いた頃に復帰するケースも少なくない。夏目もまずはナレーションという形での復帰はあるのでは」(芸能関係者)

 かつて森昌子は森進一との結婚を機に引退したが、子育てが終わったところで復帰した。そして一昨年暮れ、「2度目の引退なので、3度目はありません」と静かに芸能界から去った。還暦を過ぎた決断。もう復帰はないだろう。

 俳優では今年4月に他界した田村正和さんが2018年に「以前のような声も演技もできない」と、役者の美学を貫き引退した。

■「歌手にも引退は必要」

 田村さんの引退が“静”なら、歌謡界の大御所・橋幸夫は“動”だった。

「加齢による喉の衰え」を理由に歌手引退(俳優は続ける)を記者会見で発表した。2023年5月3日の80歳の誕生日に引退。今年12月からスタートする引退コンサートは実に1年半、全国160カ所に及ぶ引退興行だ。花火大会に例えれば、中盤を盛り上げる大輪の花火(ヒット曲)が終わり、仕掛け花火(引退興行)で締めくくる。業界からは、「引退でひと稼ぎ」と揶揄(やゆ)する声もあるが、橋は「歌手にも引退は必要で、それは誰かが先陣を切らなければ」と語った。

 ただ、スポーツ界と違って芸能界は引退後の問題が立ちはだかる。隠居するならともかく、転身を考えるとなると意外と難しい。タレントにはひな壇があり、俳優には脇役がある。とりわけ俳優は主役を張った人でも年を重ねれば「父親・母親」役などで新たな輝きを見せることができる。

 歌手は個人が主役。ひな壇も脇役もない。主役を張り続けるにはヒット曲を出すか、コンサートを常に満席にするしかない。王貞治氏が選手を引退したとき「ホームランを打てなくなった」ことを理由に挙げたのと似ている。

 歌一筋に現役を続けるベテラン歌手たちも多い。コロナ禍もあり依然として厳しい状況もあり、新たなジャンルに挑戦するなど新手を打ち出す歌手もいる。そんな中、引退という形をとった橋の決断。

「歌手の生命線は声(喉)。スポーツ選手のように限界はある。ごまかして歌うか、衰えを理由に引退する潔さも必要かもしれない」(音楽関係者)

 果たして、橋の歌手引退宣言は歌謡界にどんな影響をもたらすのか。

(二田一比古/ジャーナリスト)


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