小山田圭吾氏の謝罪から1カ月 それでも止まらぬ批判…許される日は来るのか?(文・SALLiA)

2021/10/14 00:26配信【日刊ゲンダイ】

インタビューが掲載された1994年1月発行の「ロッキング・オン・ジャパン」(左)と1995年8月発行の「クイック・ジャパン」(C)共同通信社 インタビューが掲載された1994年1月発行の「ロッキング・オン・ジャパン」(左)と1995年8月発行の「クイック・ジャパン」(C)共同通信社

かつて、複数の雑誌で"障がい者いじめ"について語っていたことで批判を浴び、東京五輪開会式直前に演出チームを辞任した小山田圭吾氏(52)。9月15日には、文春オンラインで小山田氏のインタビューが公開された。

 その内容は、過去のいじめについて「実際に自分が行ったものではないものも多い」こと、自分のイメージを変えようと「敢えてきわどいことや、露悪的なことを喋った」というものだった。さらに、同月17日には、自身のホームページで「お詫びと経緯説明」も発表していた。

 しかし、ネット上では、<傍観者だって立派ないじめ加害者><どれをやったかやってないかはどうでもいい><自己弁護の内容に感じる>などの声が上がり、小山田氏に対する風当たりはいまだに強い。小山田氏に対する批判はなぜ止まらないのか。この問題が終わる日は来るのだろうか。

 精神保健福祉士、公認心理師で、スクールカウンセラー・ソーシャルワーカーとして子どもたちも支援をする「NPO法人東京メンタルヘルス・スクエア」カウンセリングセンター長の新行内勝善氏に意見を聞いた。

「いじめというのは、傍観者という観客がいてこそ成り立つものでもあります。たとえ傍観者であったとしても、加害者がいじめを円滑に行うことに加担してしまっているのであれば、『見て見ぬ振りをする人』であり、立派にいじめの世界観を構成するための要素になってしまっているのです」

 しかし、小山田氏が雑誌で"いじめ自慢"をしてから30年以上が経つ。彼は一生十字架を背負い続けなくてはならないのか。文春オンラインでは、人権問題に取り組んでいる診療内科の先生を紹介してもらい、これから自分に何ができるのかを相談しているとも語っていた。

■まずは被害者にきちんと謝罪を

「小山田氏はまず被害者本人に対し、声に出してきちんと謝罪の気持ちを伝えるべきです。その上で、いじめを減らすための活動に積極的に取り組んだり、障がいを持つ方へのサポートなど、『自らの過ちを未来に繋げていく行動』を見せていくしかないと思います」(新行内勝善氏)

 小山田氏がいくら弁明したところで、雑誌で障がいを持った同級生の年賀状を晒したことも事実であり、一部でもいじめを実行したことには変わりはない。小山田氏の謝罪と反省は、過去のいじめという過ちよりも、自身が起こした騒動についてというニュアンスの方が強く感じた。であれば、まずは「いじめ」は「罪」だという大前提の認識から変えることが必要になるだろう。

 実は2011年、小山田が音楽を担当しているEテレ『デザインあ』と『JAPANGLE』の放送当初、過去のいじめ問題を理由に視聴者から小山田氏起用について問い合わせがあったことをNHK側は明かしており、その時も今回同様、「反省して後悔している」という姿勢を見せたことで降板には至らなかった。

 このようなきっかけがあったにも関わらず、なぜ今まで「何もしなかったのか」。どうしてもそこに疑問が残ってしまうし、自己申告の反省と謝罪でうやむやにしてきた小山田氏の過去には、複雑な思いが残ってしまう。

■米国ではいじめは刑事訴追される

 日本は「いじめ加害者」に優しすぎる国といえる。フランスやアメリカなどは「子どもが暴力的になるのには、必ず原因がある」とし、加害者にカウンセリングを受けさせ、イギリスではいじめがあることを前提とし、校内では監視カメラや保護者が見回りをするなどの対策を講じている。

 最もいじめによる社会的制裁が大きい国はアメリカで、実際、10年にニュージャージー州でいじめに関する“事件”が起こっている。大学のゲイの同級生を盗撮し、ネットでライブ配信し、自殺に追いやった2人のルームメイトは、プライバシーの侵害やその他10の罪状で、刑事裁判にかけられた。

 最終的に検事の主張した5年間の懲役刑は免れたが、それでも30日間の禁固刑と3年間の保護観察、300時間の無料社会奉仕、罰金1万ドル(約110万円)と、いじめ更生のためのカウンセリングに通うことを義務づけられた。

 イギリスでもいじめ加害者の親が教育に関する講習を受ける義務が発生し、講習を拒んだ場合は最大約15万円の罰金となっている。

■日本の「いじめ防止対策推進法」は個人の道徳に任せた法律

 日本では、13年に「いじめ防止対策推進法」が成立したが、イギリスやアメリカのように厳しい罰則がある訳でもなく、あくまで各々の道徳に任せるというような法律だ。

 だからこそ、《旭川少女イジメ凍死事件》や町田市の学校が配布したタブレットによる《小6女子いじめ自殺事件》など、学校側も「いじめ」を隠蔽して逃げ隠せる流れになっているのだ。

 そのため現在、法改正を求める声が上がっているのも当然だろう。いじめを起こさせない「対策」よりも、起こった後に「いじめをすると人生が終わる」ぐらいの厳しい罰則を制定しない限り、いじめはなくならないだろう。

 加害者がいなくなれば少なくともいじめはなくなるにも関わらず、被害者側にカウンセリングを受けさせ、学校を去らせるシステムでは、いじめは増え続ける一方だ。小山田氏がここまで大事になるまで贖罪と向き合わずに名声を維持できていたのは、いじめ加害者に優しい社会作りをしてきた結果であることがよくわかる。小山田氏が現在背負っている十字架は、第二の小山田氏を作らないために、社会全体で背負うべき十字架なのかもしれない。

(SALLiA/歌手、音楽家、仏像オタク二スト、ライター)


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