ローンオフェンダー、対応人員倍増=警察庁幹部「見えない敵あぶり出す」―連携を強化・安倍氏銃撃3年

2025/07/08 14:12配信【時事通信社】

安倍晋三元首相銃撃事件では、組織に属さず単独でテロを行う「ローンオフェンダー(LO)」の脅威が浮き彫りになった。動向の把握が難しいため、警察は事件後、対応人員を倍増。警察庁幹部は「細かな情報を積み重ね、見えない敵をあぶり出す」と話す。 LOは政治思想や宗教でつながる組織と関係せず、計画から準備、実行までを1人で行う。同庁は安倍氏銃撃事件や2023年4月の岸田文雄前首相襲撃事件をLOによる犯行と認定。対策として、SNS上の不穏な投稿を見つけるサイバーパトロールや不審情報の収集を強化してきた。 ただ、未然に事件を防止するには、警察の地域や部門にとらわれない情報収集が不可欠だ。このため警察庁は今年4月、常設の「LO等対策室」を設置し司令塔機能を強化。警視庁はLO捜査を専門とする「公安3課」を発足させたほか、各警察本部も事件後、担当の班や係を置き、全国で携わる人員は事件当時と比べ約2倍になった。 新たな体制では、地域の細かな情報も漏らさないよう各警察署の警備課長がまとめ役になり、警備以外の部署が日頃の活動で集めた不審者などの情報を収集。警察庁に集約し、全国で共有して対策につなげる。 連携の成果も出ている。栃木県警は5月、東京都内で街頭演説する野党幹部を「襲撃する」としたSNSの書き込みを発見。警察庁は警視庁に警備強化を求めるとともに、その日のうちに投稿者を特定した。居住地を管轄する大阪府警が投稿者に接触し、警告などを行った。 選挙期間中は事件が起きやすく、不審な書き込みも急増することから、警察庁は今回の参院選に合わせ、臨時の「LO脅威情報統合センター」も設置。人員を増強することで、速やかな情報分析や対応につなげる。 警察庁幹部は「テロは起こされたら負けだ。LOの目線に立ち、脅威の芽を一つ一つ摘んでいく」と強調した。


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