「空気は見えない金になる」=ノーベル化学賞の北川さん、一般向けに講演―東京
2025/10/22 17:07配信【時事通信社】
今年のノーベル化学賞に選ばれた京都大の北川進特別教授(74)は22日、東京都江戸川区で一般向け講演会に登壇した。自身が開発した新しい材料「金属有機構造体(MOF)」の実用化が進めば、「空気はインビジブルゴールド(見えない金)になる」と強調。若い研究者らに対しては「自ら情報を得て学び、物事を疑って時間をかけてそしゃくする姿勢が必要だ」と訴えた。 北川さんは気体を取り込んで分離・貯蔵できるMOFを含む多孔性材料の歴史や特性を説明。「われわれはガスエイジ(気体の時代)に入っている。金融の世界では今もゴールドの値段が上がっているが、気体がゴールドとなる時代に移す必要がある」と強調した。 自身の経歴を振り返る場面では、ノーベル賞受賞者を多く輩出している京都大について「自由な学術風土や基礎研究を重視する文化がある」と指摘。「(こうした環境下での)勉強が血となり肉となった」と語った。 聴衆から「(研究につながる)刺激を受けるために実践していることは」と質問されると、「所属していない学会など、普段とは違うところへ行くことだ。新しいことを取り込もうという気持ちが生まれる。違う分野の人と話すことが重要だ」と答えた。 講演は日本化学会が主催。同会によると、会場には約260人が集まり、オンラインでは約1600人が視聴した。