韓国は経済協力重視=中国、対米関係で不信感―首脳会談
【慶州時事】韓国の李在明大統領は就任後、初めてとなる中国の習近平国家主席との会談を通じ、悪化した両国関係を修復し、経済協力の強化を目指した。一方、習氏は米国の同盟国である韓国の取り込みを図ったが、対米関係を重視する李氏に不信感を拭えないでいる。 「両国の互恵的な協力関係を時代の流れに合わせ、さらに発展させていかなければならない」。李氏は会談冒頭、関係発展への意欲をこう強調。両国間の経済協力が「垂直的な分業構造から水平的な協力構造に変化している」とも指摘した。 低成長に苦しむ韓国経済を背景に、6月に就任した李氏は日米との連携に重点を置きつつも、最大の貿易相手国である中国との関係を安定的に「管理」する方針を掲げてきた。韓国政府が9月に中国人団体観光客のビザ(査証)を免除したのも、こうした姿勢の表れと言える。 しかし、米中対立の激化に伴い、中国は安全保障を米国に頼る韓国に厳しい視線を向けている。李氏は8月の訪米中、中国への経済依存を減らす考えを示唆したことがある。中国政府は10月、米政府の対中調査に協力したことを理由に、韓国造船大手の米国にある子会社に対して制裁を発動し、中国との取引を禁じた。習氏は、今回の会談で李氏の本音を見極めようとしたとみられる。 習氏にとっては、韓国世論の動向も気がかりだ。2017年に行われた在韓米軍への迎撃ミサイル配備に対し、中国が経済的な報復措置を取って以来、韓国側の対中感情は悪化したまま。韓国側は習氏訪韓に合わせた反中デモを警戒し、会場周辺で厳重な警備体制を敷いた。習氏は会談で「否定的な動向を抑えるべきだ」と述べ、韓国側に世論への「指導」を強めるようくぎを刺した。ただ、韓国保守層を中心とした反中感情は根深く、関係改善が進むかは見通せない。
