大統領の起訴取り下げへ法案=与党提出、地方選前に波紋―韓国
【ソウル時事】韓国の革新系与党「共に民主党」議員31人が4月末、李在明大統領の抱える複数の刑事裁判に関し、起訴取り下げに道を開く法案を国会に提出した。与党は国会で多数を占めており、成立すれば、李氏が任命する特別検察官が李氏の退任後の不安を解消できるようになる。「セルフ救済」と批判が出ており、6月初めの統一地方選の争点に浮上している。 李氏の大統領就任に伴い、抱える5件の刑事裁判の審理は停止。ただ、退任後に再開される見通しで、ソウル近郊・城南市長時代の都市開発を巡る背任事件など、有罪となれば重い処罰が見込まれるものもある。 与党はこれまで、尹錫悦政権時代に起訴された李氏の事件について、検察が証言の強要や懐柔、誤った法解釈などによりでっち上げたと主張。4月30日に提出された法案も、李氏の事件を主な対象とし、独立して設置される特別検察官が捜査し真相究明を図る内容だ。特別検察官は検察に事件を自らに移管するよう求めることができ、起訴取り下げも決定できる。 与党は月内にも採決する構えと報じられている。尹前大統領の「非常戒厳」宣言に伴い保守系最大野党「国民の力」が「自滅」状態で、大統領支持率が高いうちに、李氏の懸念を解消したい考えとみられる。夏には与党代表選が控えており、地方選後にずれ込めば党内政局の材料になりかねないとの判断もありそうだ。 しかし、裁判で無罪を主張するのではなく、国会の多数議席を通じて起訴自体をなくすという強引なやり方に波紋が広がる。地方選に向け劣勢に立たされている国民の力にとり、挽回へ絶好の機会。釜山市長選で同党が公認した現職の朴亨※(※俊のニンベンが土ヘン)市長は2日、「李大統領1人に免罪符を与えるために憲政秩序、三権分立を揺るがしてよいのか」と与党攻撃のボルテージを上げた。
