『ダブルインパクト』講評──3組足切りの功罪と「ダブル」であることの意味

2026/07/21 14:00配信【サイゾー】

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今週あったお笑い界隈の話題をピックアップ! ライター・新越谷ノリヲと担当編集Sが勝手にしゃべります。お聞き流しのほどを~。


ダブルインパクトを見ていこう


編集S さて『ダブルインパクト』ですが、あんまり冴えない感じですねえ。


新越谷 まだ気に食わないんですよ。


編集S ああ、足切りの件。


新越谷 そう。ダブルインパクトといいながら8組中3組は片方しかできないって、やっぱりダブルインパクト決勝という概念からして、全然納得できない。


編集S ダブルインパクトという概念。それは誰が決めたんですか?


新越谷 私、かな。


編集S ですよね。


新越谷 まあ、そうかな。


編集S 何を勝手に概念決めてんだよって話ですよね。


新越谷 まあ、そうだな。でもさぁ、オープニングで濱家が「お偉いさんがいっぱいいた」とか言ってたじゃないですか。そのお偉いさんが概念を捻じ曲げたと思うと、もう悔しくて。


編集S 捻じ曲げてないでしょ別に。新越谷が決めた概念なんだから、お偉いさんが知る由もなし。


新越谷 いよいよ呼び捨てか。


編集S いいから楽しみましょうよ。ほら、ドランクですよ。


新越谷 おお、懐かしいネタ。番組冒頭で 「コント」というものを紹介するときに取り上げられるって、なかなかですよね。


編集S それはそう。


新越谷 しかもKOC一度も決勝行ってないのに。これはすごくドランクドラゴンは偉大ということですし、日テレさんわかってらっしゃるな、と思っちゃうよね。


編集S そう思っちゃったところで、1組目から見ていきますよ。


滝音漫才


編集S 滝音、どうでした?


新越谷 すげえ点出るな、大丈夫かなと思って。


編集S 475点、平均95点はかなり高い。


新越谷 見てる感じでは、ウケるけどクジ運なぁーと思ってたんですよね。滝音の場合、崩しなわけじゃないですか。ボケの後にツッコミが来るよ、というフォーマットから崩してるので、1番手で見ると、やっぱ見る側もひとつ階段を上がって見なきゃいけないというか、漫才見るぞスイッチが必要な気がするんですよね。ミキの後に見たいというか。と言いつつ、たぶんそれ対策として最近は秋定のボケ先行の構成にしてるのかもしれないとも思いました。まず秋定であっためて、いい感じのところでベイビーワードでスナイプするというか。そういう意味で、けっこう進化の過程を見た感じがしました。あと、数年前に比べてさすけがテンションを落としたのはホントに成功してると思う。


編集S え、大丈夫ですか?


新越谷 何が?


編集S いや、一番手からそんな分析めいたこと言って、この先大丈夫なのかなと。


新越谷 知りませんよ、でもまぁ、なんかそんなことを考える余地はあったという感じですかね。


編集S 急に辛口だし。


ドンデコルテコント


編集S ドンデコルテ。


新越谷 コントからなのかと。


編集S 漫才からだと思いますよねえ。


新越谷 うん、カッコええなというか、優勝マジで狙ってきてるなと。


編集S まあ、ドンデの漫才待っちゃいますもんね。それにしても、コントできるんですね。


新越谷 『THE CONTE』出てましたよね。ナベが女の人の役で。去年の12月にM-1獲って、翌1月のTHE CONTEだからおそらく急遽オファーだったと思うけど、ちゃんとウケてた。話題性枠だとしても、テレビでコントなんてやったことないはずのドンデをTHE CONTEに呼ぶTBSにも驚きました。


編集S ネタはどうでした?


新越谷 小橋が高いところの駄菓子を取り始めて、クスクスが湧き始めたところよかったですねえ。気持ちよかっただろうなと思って。あと、狭いなら狭い一本鎗でジャンポケみたいにガチャガチャやるのかなと思ったらジャムパンがからんできて、要素が渋滞してる感じがした。展開上必要だったかもしれないけど、ジャムパンは「狭い」のコントでやることではないかも、とか。


編集S なんか批判的ですね、今日は。あとドンデはM-1獲ってない。


ダンビラムーチョコント


編集S ダンビラです。


新越谷 どっちやるんだろう、というワクワクが初めてきた。ドンデは漫才だと思ってたので。


編集S コントでしたね。


新越谷 最初、隣人かなと思いましたよね。チャンスの時間でやってたウンコチンパンピッチャーがすぐ思い浮かんで。


編集S おもしろかったですよね。


新越谷 うん、好きなネタだった。大阪桐蔭はドラミングしないところとか、すごくよかったです。


編集S でも、とか言うんでしょ?


新越谷 でも、これだったらやっぱり1vs1の関係性が見たいと思っちゃうんですよね。監督とゴリラの関係だけで深みに行ってほしかったというか。これも隣人に引っ張られすぎかな。


編集S そうなんじゃないの。素直に見たほうがいいよ。


新越谷 あと練習が1時間しかできない理由が、スーパーヒューマン由来じゃないのかーと思いました。


編集S なんか今日はホントに手厳しいですね。ザセカのときは楽しい楽しい言ってたのに。


新越谷 たぶん、見応えがあるんだと思います。久しぶりに賞レースを見てる感じがする。


編集S なるほど。はい。


TCクラクション漫才


編集S TC、ようやく全国デビューです。


新越谷 これは、漫才やれ、と思った。漫才から入れば可能性あるぞと。


編集S どうでした?


新越谷 なんか、感動しちゃった。


編集S え、素直に見ろって確かに言ったけど、そこまで素直に見るとは。まあ確かに、生きる意味はありますよね。


新越谷 いや、そういうことじゃなく。ピン芸人時代から見てたら、あの曇天が全国の舞台で、あのクソ恥ずかしい「ないものダンス」をしてるという。もちろんワードとのギャップを生むためなんだけど、だとしてもこれをやる芸人ではなかったよなぁって。


編集S ああ、そっちですか。


新越谷 本当の意味で、捧げたんだなと思ったんですよ。笑いに人生を捧げた。たぶん、そう決めた瞬間があったんだろうなと思って。それはこのコンビを組んだ瞬間かもしれないし、ある程度舞台を重ねてからなのかもしれないけど、そういう瞬間があったはずなんですよ。人生にそういう瞬間が訪れることはとても幸福なことだし、訪れない人だっていると思うんですよね。すべてを賭ける価値があるものと出会ってる。その証拠を見せつけられてる感じというか。誰しも生きる意味があるかどうかはわからないけど、少なくとも曇天には生きてきた意味があったんだと思って、本当に感動してしまった。


編集S ちょっと何言ってるかわからないので次行きますね。


新越谷 そうして。


蛙亭コント


編集S 蛙亭です。


新越谷 暗転ミスった?


編集S まあいいじゃないですか、そういうこともありますよ。


新越谷 まあよくはないけどどうしようもないからしょうがないか。


編集S ネタはどうでした?


新越谷 まず、面白かったし、笑ったという前提で、あくまで私個人の偏見を言いますよ。


編集S なんかすごいこと言いそう。


新越谷 あのね、取っといてるんじゃね? と思った。


編集S と言いますと?


新越谷 勝負ネタはKOCに取っといてるんじゃね? と。


編集S ああ、それはまた、なぜそう。


新越谷 中野ってフィジカルだと思うわけですよ。キックボードで飛び出してきて寿司を押し潰すのが中野の真骨頂であって、それは座りっぱなしのこのネタでは100%発揮されない。


編集S ああ、それはそうかも。


新越谷 2人とも上手いし展開も意外性あるし個性的だし、これは蛙亭のネタであることは間違いないんだけど、天井叩いてない感じがする。


編集S そういうもんですかね。優勝賞金1,000万ですよ。


新越谷 そうだし、絶対優勝したいことは間違いないし、たぶん単なる私の勘違いなんだけど、勝手にKOCに期待しときますね。やっぱ『ゴッドタン』の、イワクラの「絶対取ってやるよキングオブコント」って宣言が耳に残ってるわけで。


編集S それは勝手にどうぞ。


ななまがりコント


編集S ななまがりです。


新越谷 はい最高。もう最初から初瀬の「なんだあいつは!」と一緒に「なんだこいつは!」って言っちゃったし、次の初瀬の「ハム貼りじじい?」と一緒に「ハム貼りじじい?」って言っちゃった。なんだよハム貼りって。


編集S 今日イチ笑ってましたね。


新越谷 アスパラにベーコン巻き始めたところとか、もうね。


編集S 出順とかネタかぶりとか、賞レース的なメタも入っててあんまり好みじゃないのかなと思いましたけども。


新越谷 それはそうなんだけど、細い骨に美味い肉がたっぷりついてる感じ。結局、骨太がいいよねみたいなことを言ったところで、美味い肉が多い方がいいんですよ。したたりたいんです。笑いにしたたりたい。あと、ハム貼りじじいがぜんぜん妖怪っぽいことしないなと思ってたから、オチも美しかった。


編集S ご満悦なのは何よりです。


ビスケットブラザーズ漫才


編集S ビスブラです。


新越谷 ふと気づいたんですが。


編集S はあ。


新越谷 なんかキングオブコント見てる気になってた。


編集S は?


新越谷 なので、なんか漫才コントをやってきたことで、あれ? ってなっちゃった。


編集S なんですか、その感想は。


新越谷 振り返ってみると4組目のTCが漫才で、蛙亭、ななまがりとコントが2組続いただけなんですよね。それなのに、なんかコント脳になってしまっていて、そのままあんまり集中できなかった感じ。おもしろいネタだと思うけど。たぶん、蛙亭とななまがりってコントの両極端だったんだと思うんですよね。よくできた会話劇と、ハム貼りって。その両極端を続けて見たことにより、中間が補完されてしまったんだと思う。それにより、脳がコントに侵食されていた。ビスブラの普通の漫才コントに戸惑うほどに。その意味では、蛙亭は再評価されるべきでしょうね。


編集S 再評価も何も、普通に高得点出てますよ。


新越谷 それはそうだけど。


編集S えっ、終わり?


新越谷 何が?


編集S ビスブラの話は終わりですか?


新越谷 そうみたい。残ったので、早くコント見たい。


今夜も星が綺麗漫才


編集S 今夜です。


新越谷 運転席と助手席、好きですねこの人たち。密室感と閉塞感がいいんだろうね。


編集S 確かに、いいシチュエーションではありますよね。で、ネタはどうでした?


新越谷 やることやった感じがした。やることはやったぞ、と。爽やかな気分。


編集S 勝手に爽やかにならないでください。


新越谷 だっておそらくはベストパフォーマンスだし、実際笑ったし、とやかく言われるようなことじゃないでしょう。


編集S 誰かとやかく言ってるんですか?


新越谷 知らないけど、なんかとやかく言われそうな気がして。


編集S それって個人の感想ですよね。


新越谷 ずっと個人の感想ですよ。


編集S そうでした。では最終決戦にいきましょう。


ドンデコルテ漫才


編集S ドンデの漫才から。


新越谷 もう空気感が真打ち登場って感じですね。ホントに売れたんだなぁ。M-1ドリームすごいわ。


編集S ネタどうでした?


新越谷 すんごいと思った。もう聞いてられる人になっちゃってる。ナベが何を言っても聞いてられる状態。無敵じゃん。上岡龍太郎かと思ったよ。


編集S 確かに、ウケるスベるのところでやってない感じはしますね。


新越谷 TCのところで、曇天には自分を変える一瞬があったはずだって話をしたじゃないですか。


編集S はい。よくわかんなかったけど。


新越谷 ナベには、自分を取り巻く世界を変える一瞬があったんですよね。しかもその瞬間は、私たちも目撃している。このM-1からのダブルインパクトって、ナベにとっては仮説と証明なんだと思うんですよ。M-1では確かにウケたけど、それはまだ仮説でしかない。ダブルインパクトの漫才では、同じようにウケたという話ではなく、もう、そういう人として登場してしまっている。これはこれで感動的だったなと感じるわけです。あと、チャーハン仕事が多すぎて漫才に支障が出るとか、逆にチャーハンだけやっとけば剥がされないから漫才への影響は少ないとか、そういう話もあったけど、結果、チャーハンをネタに入れてきた。見事な曲線ですよ。こういう曲線って、なんていうんでしたっけ。


編集S 知りませんよ。そういう曲線に何か名前があるのかどうかも知らないし、そもそもその曲線が見えてないです。あと小橋のこともなんか言え。


ビスケットブラザーズコント


編集S ビスブラのコントです。


新越谷 こっちも真打ち登場ですよねえ。いやぁ1本目残ってよかった。本人たちがどう言おうと、やっぱこっちだもん。本当にうれしい気持ち。


編集S うれしい気持ち。


新越谷 結局ね、100の言葉より1枚のブリーフなんですよ。それですべてが伝わる。こういうネタをやってるとき、原田は人間じゃなくなる。すごい天賦だと思う。ありがたい。


編集S あんまり聞いたことのない絶賛ですね。


新越谷 正直、次のネタに行く前にもう1回見ました。


編集S それは聞いたことのある絶賛だ。


蛙亭漫才


編集S 蛙亭。


新越谷 えー、かわいい。こんなかわいい蛙亭のネタ初めて見たかも。


編集S イワクラが怖い瞬間が一度もなかったですね。


新越谷 今さらだけどさ、今さらなことを言いますよ。


編集S なんですか。


新越谷 こういうネタに点数をつけるのは違うと思うんだよな。だってクオリティとかテンポとかの話じゃないでよ、もう一展開とか、そんなことじゃないじゃん。


編集S 本当に今さらだった。


ダンビラムーチョ漫才


編集S ダンビラです。当然のように歌ネタ。


新越谷 なんか最終決戦になって、がぜん楽しい。去年の、ただのお笑いライブだけど超豪華みたいな空気感がようやく戻ってきた感じがする。


編集S そういえば去年はそんなこと言ってましたね。


新越谷 だから結局、ダブルインパクトってM-1とかKOCみたいな緊張感がない方がいいんだと思うんですよ。足切りがあることで1回戦はやっぱり緊張感あったもん。


編集S なんでそのほうがいいんでしょうね。


新越谷 それはもう明確で、どのネタもそのコンビにとって絶対的な1本じゃないからだと思う。KOCやM-1に取っとくかどうかという話もそうだけど、それ以前に「2本やる」という時点で、その一瞬一瞬が唯一絶対無二ではない。そりゃ無二ではないですよ。ダブルなんだから。無二じゃないものを無二っぽく見せるからおかしくなるわけで、3組を削ぎ落すことはそのまま、この番組の贅沢感や多幸感を削ぎ落すことにしかならないんだと思うんですよね。


編集S うーん、でもKOCもM-1も2本やる前提で来てるだろうし、その理屈では説明できてない感じがするけど。


新越谷 そうですね。あんまり自分でも何言ってるかわかってないからね。


滝音コント


編集S ラスト、滝音です。


新越谷 滝音のエースネタだ~、このネタほんと好きなのでうれしい。うれしい気持ち。


編集S もうそればっかやな。


新越谷 これほんとよくできてるし、発明してると思うんですよねえ。なんか最後に、漫才コント両方強いってカッコいいなと思えたんで、とりあえずよかったんじゃないでしょうか。


編集S 今回はそんな感じですかね。


新越谷 そんな感じですね。


編集S 今回のハイライトはやっぱり、滝音の2本目ですか。それか曇天か。


新越谷 打ち上げ配信で、なんかよくわかんないけど三福の実家の鰹節を猫まんまにしてみんなで食べるくだりがあって、三福が「親孝行したかったんですよ、見てくださいよ、売れっ子が食ってますよ」って言ったところ、本当に泣いちゃった。ザンゼンジ解散してピンになるってなったとき、こういう未来があるなんて想像してなかったもん。結局単純なんだよな。


(文=新越谷ノリヲ)


 


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