映画界のトレンドに君臨 「新感覚ホラー映画」に世界が絶叫する理由

2026/08/11 12:00配信【サイゾー】

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 1950年代末に始まった映画界の新しい波「ヌーベルヴァーグ」はゴダールやトリュフォーらを輩出したが、現代の映画界では「ホラー・ヌーベルヴァーグ」と呼びたい新しい潮流が世界的に起きている。


 ジョーダン・ピールやアリ・アスターといった人気監督たちが登場し、ホラー映画の評価は大きく変わり、それに続く新世代も控えている。新感覚ホラー映画が人気を呼んでいるのはなぜだろうか。(雑誌「サイゾー」26年8月号より、全文公開)


「YouTube×映画」の可能性


 新しい恐怖のかたちが世界を震撼している。近年は新感覚のホラー映画が話題を呼び、映画界をにぎわせている。ヴァンパイアものとアメリカンルーツミュージックを「ジャンルミックス」させた『罪人たち』(25年)は米国で大ヒットし、今年のアカデミー賞では脚本賞など4冠に輝いた。「考察系」ホラーとして日本でもヒットした『WEAPONS ウェポンズ』(25年)の老女役エイミー・マディガンはアカデミー賞助演女優賞に選ばれた。かつてホラー映画は、ティーン向け、マニア向けのサブジャンルとして扱われてきたが、ルッキズム問題をブラックコメディ化したデミ・ムーア主演作『サブスタンス』(24年)はカンヌ国際映画祭で脚本賞に選ばれるなど、その立ち位置は大きく変わった。ホラー映画は、今やメインストリームになりつつある。


 こうした新感覚ホラーの火付け役となったのが、ジョーダン・ピール監督の『ゲット・アウト』(17年)だ。米国社会に根強く残る人種差別を奇抜なアイデアでエンタメ化して描き、アカデミー賞脚本賞を受賞した。以降、社会不安や倫理観の崩壊を扱ったホラー作品が増えている。ロバート・エガース監督の『ウィッチ』(15年)のように民間伝承を現代的に再解釈した作品や、幽霊や怪物よりも人間そのものを恐怖の対象として描く「ヒトコワ系」が多いのも特徴だろう。


 新しいホラー映画の流れの中で、大きな存在感を放っているのがアリ・アスター監督だ。デビュー作『ヘレディタリー/継承』(18年)では、家族というひとつのコミュニティが壊れていく様子を鮮烈に描いてみせた。続く『ミッドサマー』(19年)はホラー映画になじみのなかった女性層も巻き込み、社会現象級のヒットとなった。純粋なホラー監督ではないが、ギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス監督は古典的怪奇小説『フランケンシュタイン』をジェンダー視点で再構成した『哀れなるものたち』(23年)で人気を博している。


 ジャンプスケア(恐怖演出)に頼ることなく、社会問題や現代人の心理を題材に、観客の考察欲を刺激する新感覚ホラー映画は、欧米では「エレベイテッド・ホラー」とも呼ばれている。川村元気監督の『8番出口』(25年)や香川照之主演の『災 劇場版』(26年)なども、この流れをくんだものだろう。





若者たちに人気のブランド「A24」とYouTuber監督


 ホラー映画の新しい波を語る上で欠かせないのが、2012年に設立された米国の新興スタジオ「A24」だ。ロバート・エガース監督やアリ・アスター監督を世に送り出し、ヨルゴス・ランティモス監督の不条理ドラマ『聖なる鹿殺し』(17年)を米国で配給している。また、非ホラー作品『ムーンライト』(16年)、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22年)はアカデミー賞作品賞を受賞するなど、A24は映画ファン、そして若者たちに支持される人気ブランドとなっている。


 ホラー映画に詳しい宣伝プロデューサーの奥村裕則氏に、A24を中心とした米国のホラー映画事情について訊いた。


「米国はホラー映画を楽しむ人口が、日本に比べて格段に多いんです。ミイラ伝説を題材にした『THE MUMMY ザ・マミー 棺の中の少女』(公開中)のような従来的な題材を扱ったホラー映画も人気ですし、新感覚のエレベイテッド・ホラーも注目を集めています。A24は新しい監督の起用に積極的ですね。ホラーに強いスタジオは他にもありますが、『ブラムハウス・プロダクション』はユニバーサル、『ニュー・ライン・シネマ』はワーナーと、それぞれ大手映画会社と提携しているのに対し、A24はメジャー系列に属していない独立系のスタジオです。若い監督を大胆に起用することができ、今までになかった作品を生み出しているんです」(奥村氏)


 ここ数年、ハリウッドのメジャースタジオがシリーズものに依存して低迷するなか、A24は大きく躍進している。A24という組織自体が、従来の映画会社とは異なる企業文化を持っているようだ。


「アリ・アスター監督ら個性の強い監督たちの作家性を重んじています。A24のプロデューサーは表に出ることはなく、取材も受けていないようです。派手な宣伝もしていませんが、代わりにSNSでのファンダム構築には熱心です。ポッドキャストで新作情報を発信し、作品ごとに趣向を凝らしたグッズを販売し、ファンを楽しませています」(奥村氏)


 7月10日からA24製作のホラー映画『ブリング・ハー・バック』が日本でも公開される。降霊術を扱った『TALK TO ME トーク・トゥ・ミー』(22年)で長編デビューした双子のダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟の第2作。父親を失った兄妹が里親に引き取られるが、その家でおぞましい儀式に巻き込まれていく。妹役に視覚障害を持つソラ・ウォンを起用しており、『コーダ あいのうた』(21年)以降の当事者キャスティングという流れも意識している。


 ダニー&マイケル・フィリッポウ兄弟はユーチューバー出身監督としても有名だが、ハリウッドではユーチューバー監督が大いに注目を集めているようだ。


「日本でも7月に公開される『オブセッション 災愛』は『ブラムハウス』製作ですが、カリー・バーカー監督もユーチューバーです。『オブセッション』は北米で大ヒットし、A24が『悪魔のいけにえ』(74年)をリブートする企画にバーカー監督が参加することが決まっています。A24が製作した『Backrooms』のケイン・パーソンズ監督は、まだ21歳です。16歳のときにユーチューブにアップした短編映像が2億回再生され、A24がスカウトした逸材。日本での公開も決まりました。ユーチューバーは、短時間でユーザーを惹きつけるセンスに優れ、若い世代への影響力も大きい。今のハリウッドはユーチューブが次世代クリエイターが育つ土壌になっています」(奥村氏)


 映画監督というと、製作現場での下積み経験者か映画学校で専門知識を学んだインテリという印象があったが、早くから動画投稿やデジタルツールに慣れ親しんできた新世代のクリエイターたちが映画界の主流となるのはもうすぐなのかもしれない。





アリ・アスター監督らが拡張するホラージャンル


 新感覚ホラーのアイコニックな存在となっているアスター監督とA24作品を、さらに深掘りしてみよう。『ミッドサマー』や『ボーはおそれている』(23年)などの日本版のビジュアルデザインを手掛け、A24作品が日本で幅広く受け入れられることに貢献してきたグラフィックデザイナーの大島依提亜氏は、アスター作品の魅力をこう語る。


「ホラー映画は新しい才能が生まれてくるジャンルでもあります。アスター監督の『ヘレディタリー』を観たときは『新しい作り手が現れたな』と感じました。続く『ミッドサマー』は日本でも驚くほど話題になりました。日本版のビジュアルを作る際は、映画本編だけでなく『A24』はグッズも洗練されているので、『ミッドサマー』もホラーファン以外に窓口が広がるようなデザインを意識しました。アスター作品には僕もすっかりハマり、来日した際に2度お会いしています。作品からは家族内でのトラウマを抱えているようにも感じられますが、本人はすごく爽やかで、目がキラキラ輝いていました。逆にそのことが怖く感じましたね(笑)。彼は古今東西さまざまな映画に精通したシネフィルです。作品ごとに過去の名作を明確にリファレンスしていることがわかります。でも、シネフィルっぽさがないところが面白い」(大島氏)





 大島氏によると、『ミッドサマー』はスタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』(68年)を連想させるそうだ。主人公の再誕祭を描いていることに加え、ハンマーが振り下ろされる場面は『2001年~』の冒頭を思わせるという。しかし、『ミッドサマー』はキューブリックらしさを感じさせないところがすごい、というわけだ。新感覚ホラーの作り手たちは、映画表現そのものを更新しているのではないかとも大島氏は見ている。


「最近はアカデミー賞にホラー作品がノミネートされるようになり、幅広く受け入れられるようになってきました。ホラーというジャンル自体も多様化し、A24のホラー映画だけでもいろんな作品があります。『テレビの中に入りたい』(24年)はトーン自体はホラーですが、テレビ番組の中にしか自分らの居場所がないという少年少女の切実な青春ドラマです。『LAMB ラム』(21年)も純粋なホラーというより、家族ドラマの要素が入っている。その一方、タイ・ウェスト監督の『X エックス』(22年)のようなジャンルホラーへ原点回帰した作品も人気です。ホラーというジャンルが拡張されているように感じますし、映画表現の可能性も広げているのかもしれません。アスター監督の『エディントンへようこそ』(25年)は、もはやホラーではありませんでした。今後、彼がどんな作品を撮るのか楽しみです。恋愛ドラマを撮ると、人間心理の裏側までえぐるような作品になるんじゃないかな(笑)」(大島氏)


 劇場に出かけた際は、ぜひA24作品のポスターやパンフレットにも注目してほしい。ホラー映画をグラフィックアートへと昇華させた大島氏の手腕に魅了されるはずだ。





新世代監督たちを送り出す「日本ホラー映画大賞」


 かつて中田秀夫監督の『リング』(98年)や清水崇監督の『呪怨』(02年)は大ヒットし、「Jホラー」ブームとして世界を席巻した。また、黒沢清監督の『CURE』(97年)や『回路』(01年)、三池崇史監督の『オーディション』(99年)は欧州での人気が高く、多くのクリエイターたちに刺激を与えている。


 その後も日本では、白石晃士監督の『オカルト』(09年)、中村義洋監督の『残穢 -住んではいけない部屋-』(16年)などの振り切ったホラー作品がファンを喜ばせたが、新しい波を起こすには至ってはいない。Jホラーが低迷するなか、「リング」シリーズを生み出したKADOKAWAは「日本ホラー映画大賞」を21年に設立し、次世代のホラー映画作家たちの発掘に努めている。


 第1回大賞を受賞した下津優太監督は『みなに幸あれ』(24年)で商業デビューを果たし、米国誌「ローリングストーン」の「2025年ベスト映画20選」に日本映画として唯一選ばれている。第2作『NEW GROUP』(現在公開中)は「組体操」が襲ってくるという奇抜なアイデアとユーモアが海外の映画祭でも話題となった。





 第2回大賞を受賞した近藤亮太監督はフェイクドキュメンタリー番組『イシナガキクエを探しています』(テレビ東京系)のディレクターのひとりとして注目を集め、フッテージホラー『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(25年)で劇場デビューしている。第3回大賞は『夏の午後、おるすばんをしているの』の片桐絵梨子監督が受賞した。片桐監督が共同脚本を手がけた内藤瑛亮監督の『氷血』(7月3日公開)はジェンダーホラーとなっている。


 ホラー映画専門のコンペ「日本ホラー映画大賞」を企画した小林剛プロデューサーに、国内のホラー映画事情を訊いた。


「Jホラーブームから、20年以上がたちます。ブーム時に粗製乱造が起きて一時期国内でのホラー映画は低迷状態になり、その後新しい才能が育たなくなりました。そうした閉塞感を打ち破るために始めたのが『日本ホラー映画大賞』です。清水監督に選考委員長を務めてもらい、応募作を募ったところ、毎回100本以上のレベルの高い作品が寄せられています。清水監督は『ライバルを増やすのに手を貸している』と自嘲されていますが、新しい作り手が現れることで業界が活性化されるのを期待していると思います。下津監督はCM畑出身で、Jホラー色に染まっていない。短編映画『みなに幸あれ』を地元の北九州で撮り、長編版も同じロケ地を使っています。長編化することも想定していたんじゃないでしょうか。近藤監督は第1回にも参加し、第2回で大賞を受賞しています。テレビ放送された『イシナガキクエを探しています』に加え、ホラーイベント『行方不明展』で手がけた映像も話題になっています。セルフプロデュース能力の高さを感じます。第3回の大賞を受賞した片桐監督の受賞作『夏の午後、おるすばんをしているの』は幻想ファンタジー系の作品で、また違ったテイストです。片桐監督の劇場長編映画デビューも決まっています。新しいタイプのクリエイターたちが現れてきたように感じています」(小林プロデューサー)


 山﨑賢人と橋本愛が共演した『Another アナザー』(12年)などのホラー&ミステリー系の作品を放ってきた小林プロデューサーは、新しい恐怖を描く映画が世界的な新しい波となりつつある状況をこう語った。


「デヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『イット・フォローズ』(14年)あたりから、新しい流れが始まったように思います。恐怖の対象ははっきりと姿を見せず、正体も明かされず、不安感だけが残るという演出が印象的でした。小中千昭さんはフェイクドキュメンタリー系のホラー映画『邪願霊』(88年)の脚本などを手がけた、Jホラーブームの中心人物です。黒沢清監督や『リング』の脚本家の高橋洋さんは、小中さんが著書でまとめたJホラーのスタイルを『小中理論』と呼んでいます。幽霊ははっきりとは映らない、何もしないといったJホラーの基本的な方法論がまとめられています。Jホラーブームで日本のホラー映画が海外に輸出されたのと同時に、Jホラーが持っていた独自の方法論も広まったように感じます。Jホラーの影響を受けた監督たちが海外に現れ、さらにその影響を受けた新世代が日本でも育ちつつある。やはり日本はホラー映画の先進国であり、恐怖描写に優れています。下津監督はハリウッドのマネジメント会社と契約するなど、夢があっていいですね。彼らがこれからどうブレイクしていくのか、想像がつかないところがあります(笑)」(小林プロデューサー)


ハリウッドに最も近い下津優太監督のスタイル





 ホラー映画はもはや周縁的なジャンルではない。映画表現を更新し、映画業界を活性化させる最前線として、新たな才能を生み続けていると言えそうだ。米国のマネジメント会社「カプラン・ペローン・エンターテイメント」と契約し、現在、ハリウッド向けのオリジナル脚本を執筆中の下津監督はこう語る。


「ガチなホラー映画マニアではないところが、僕の場合はよかったのかもしれません。高校までは人並みに話題作を観る程度で、大学で映画製作について座学で学び、映画づくりに興味を持つようになったんです。Jホラーは目指していません。Jホラーで勝負するなら、清水監督や中田監督という巨匠がいるわけで、残りの椅子をほかの監督たちと争うことになる。それなら自分で新しい椅子を作ればいいじゃないかと考えているんです。〝理系人間〟なので、物事は合理的に考えるのが好きなんです(笑)」


 下津監督のデビュー作『みなに幸あれ』は「幸せと不幸の総量は同じ」というネット上の都市伝説をモチーフにしたホラー寓話だった。『NEW GROUP』は現代社会にはびこる〝同調圧力〟の恐ろしさを「人間ピラミッド」として可視化して見せている。どちらも社会批評が込められた作品だ。CM制作のキャリアを持つ下津監督は、作品のテーマをキャッチーに見せるのがうまい。


「ホラー映画は幅広いジャンルだと思うんです。どんな奇抜なアイデアも受け入れてくれる懐の深さがある。『NEW GROUP』が海外の映画祭で上映された際は、客席で爆笑が起きました。規律や協調性を重んじるアジアならではのブラックコメディとして、英語圏の国々では楽しんでもらえたようです。人間や社会が持ついろんな側面を描くことができる可能性を、ホラー映画には感じているんです」(下津監督)


ベルリン映画祭受賞作が1週間で撮影できた理由





 岩崎裕介監督の『チルド』(7月17日公開)は今年のベルリン国際映画祭に出品され、国際批評家連盟賞を受賞している。社会派作品が多いベルリン国際映画祭で、新人監督のホラー映画が受賞したことは特筆していい。


 コンビニを舞台にした『チルド』は、人間が無意識のうちに社会のシステムに組み込まれていることをアイロニックに描き、モンスターは現れず、派手なジャンプスケアもない。現代人が日常的に感じている不安や虚無感を映像化したものだが、ベルリンでの上映では爆笑も起きたそうだ。


 岩崎監督はCMディレクターでもあり、この点は下津監督と共通する。岩崎監督はオムニバスホラー映画『NN4444』の一編『VOID』(24年)で商業監督デビューし、『チルド』が長編デビュー作となる。22年に映画製作会社「NOTHING NEW」を立ち上げ、岩崎監督を商業デビューに導いたのは林健太郎プロデューサーだ。大手映画会社から独立した林プロデューサーに、新会社を設立した経緯を聞いた。


「高校3年のときに観た同級生の作った自主映画がとても面白く、感動したことが原点なんです。また、大学時代にロンドンに留学した際、日本の自主映画と商業映画を一緒に上映するイベントを開いたところ、知名度に関係なく盛り上がったことも今の価値観につながっています。海外で評価されるかどうかは、純粋に作品が面白いかどうか。もちろん、国内である程度の規模で公開するには、一般的に知名度のある原作やキャスト、実績のある監督が求められます。でも、全世界での展開を前提にすることで、新しい才能とのオリジナル作品でも勝負することができるのではないか。学生時代に抱いた素朴な質問に、今でも挑んでいます。海外で勝負する上で、ホラーならばアイデア次第で、限られた予算でも挑むことが可能です。大学時代の同級生でもある岩崎監督らに声を掛け、企画開発を進め、初の長編『チルド』を製作しました」(林プロデューサー)


 染谷将太ら演技力に定評のあるキャストを起用した『チルド』は、わずか1週間で撮影された。メジャー系の映画が1カ月前後の撮影期間を要するのに比べ、かなりコンパクトに製作したことがわかる。


「各所のスケジュールの都合で撮影期間が1週間という前代未聞の挑戦でした。岩崎監督は事前に全カットの絵コンテを用意し、可能な限り一発撮りで進めるなど工夫を凝らしました。撮影チームは岩崎監督が普段からCMの仕事をしているスタッフで構成し、短編映画『VOID』から続く〝岩崎組〟です。『チルド』は信頼するチームで一丸となって挑むことで完成した作品です」(林プロデューサー)


 ホラー映画が世界的に人気を集めているのはなぜだろうか? この問いに林プロデューサーはこう答えた。


「現代社会がホラー映画よりもホラーな状況になっていることも起因しているのではないかと思います。ホラー映画を観ることが、刺激の摂取だけでなく、共感や癒しにもなっているのかもしれません」(林プロデューサー)


 経済効率が優先される社会、戦争、SNSが招く孤独感、AI(人工知能)の台頭など、ホラー映画は現代人の苦悩を敏感に察知し、これからますます進化を遂げていくに違いない。


『怪奇!死肉の男』が開く新時代の扉


(取材・文=長野辰次)


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