生命の謎、化学で迫る=そあいさんインタビュー―ノーベル化学賞
2026/10/09 21:16配信【時事通信社】
ノーベル化学賞の受賞が決まった東京理科大のそあい憲三名誉教授(76)が9日、時事通信のインタビューに応じた。分子の右型と左型のわずかな偏りを増幅させる「不斉自己触媒反応」(そあい反応)の発見に至るまでの研究を振り返った。 幼少期は自動車や飛行機よりも、生き物に興味が向く少年だった。高校までは広島県内で過ごし、歴史などにも興味はあったが、特に理科系の科目に引かれ、化学を選んだ。生物への関心も強く、生命の起源にも関わる分子の「左右の謎」に行き着いた。 東京大・同大学院では、有機合成化学の第一人者、故向山光昭氏に師事。「口先のアドバイスだけでなく、自分の行動で示すタイプ」だったといい、実験を巡る議論を重ねる中で「研究に関しては全部影響を受けた」と振り返った。 授賞理由となった、そあい反応に至る最初の研究成果を発表したのは1990年。化学反応で生まれた物質が、自らと同じ物質を作る触媒として働く現象を発見した。ただ、当初は左右の偏りが小さいという課題があった。 試行錯誤の末、95年には別の化合物を使い、わずかな偏りを大きく増幅させることに成功。英科学誌ネイチャーに発表した。その後、自身の名を冠して呼ばれるようになったことについては「大変名誉なことだと思う」と語った。 現在も研究室を受け継いだ教授と共同研究を続け、関連する論文に目を通す日々だといい、「研究以外の楽しみは特にない」。ノーベル賞の賞金の使い道については、「そこまで考える余裕がないです」と答えた。 東京理科大は同日までに、そあいさんの研究業績と、教育・研究への貢献をたたえ、栄誉教授の称号を授与した。
