交渉途絶、関係改善程遠く=北方領土、解決へ道筋見えず―日ソ共同宣言から70年

2026/10/19 18:59配信【時事通信社】

 日本とソ連の第2次大戦での戦争状態終結と国交回復を定めた日ソ共同宣言の調印から19日で70年を迎えた。日本とロシアは2018年、宣言を基礎に平和条約交渉を加速させると合意したが、ウクライナ侵攻を契機に交渉は途絶。関係改善には程遠く、北方領土問題解決の道筋は見えない。 「今もなお北方領土問題が解決していないことを重く受け止めている。ロシア側と必要な意思疎通を続け、事態打開に向けて取り組む」。木原稔官房長官は19日の記者会見でこう強調した。 1956年に調印された日ソ共同宣言には、平和条約の締結後、北方四島のうち歯舞群島と色丹島を日本に「引き渡す」と明記された。だが、交渉は難航し、返還は実現していない。 近年、宣言に焦点が当たったのが18年11月のシンガポール合意だ。当時の安倍晋三首相がプーチン大統領と協議し、宣言を交渉の「基礎」と位置付けた。安倍政権は「4島返還」から「2島返還」に転換したとみられたが、双方の溝は埋まらなかった。 交渉が途絶えたのは、ロシアによる22年のウクライナ侵攻がきっかけだ。当時は岸田政権。「力による現状変更」に反対する立場から経済制裁に踏み切った。反発したロシアは交渉継続を拒否。それ以降、首脳会談はなく、「国交回復後最悪」とも言われる状況になった。 昨年10月に発足した高市政権は中東情勢の不安定化を背景に、資源大国であるロシアに近づく動きも見せた。今年5月に経済産業省幹部が訪ロし、7月には茂木敏充外相が国際会議の際にラブロフ外相と接触。関係再構築を探ったとみられた。 だが、北方領土を実効支配するロシアは強硬姿勢を崩さない。プーチン氏は8月に択捉島を訪れ、今月13日には中国の地方政府代表団が同島を訪問したとロシア側が発表した。この日はロシア当局が「スパイ容疑」で北海道新聞記者を拘束したことも判明した。 日本は抗議したが、エネルギー確保への悪影響を考慮してか、さらなる対抗策に及び腰だ。記者拘束を巡っては領事面会がなかなか実現せず、政府関係者は「ロシアは一筋縄でいかない」と語った。 領土交渉に展望が開けない中、政府は人道的観点から元島民の墓参再開を粘り強く働き掛ける考えだ。外務省幹部は「対ロ制裁を前提に、できる範囲で進めるしかない」と強調した。 


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