早期の日中会談、諦めムード=高市首相「台湾有事」発言1年
高市早苗首相が台湾有事について、「存立危機事態になり得る」と発言してから7日で1年となった。日本政府は1972年の国交正常化以来の立場を堅持する姿勢を強調して沈静化を待つのに対し、中国は発言の撤回を求めている。改善の糸口すらつかめず、18日から中国で行われる国際会議に合わせた首脳会談の実現も諦めムードが漂う。 「中国は重要な隣国だ。戦略的互恵関係を推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していく」。首相は6日、記者団から発言について問われ、これまでの説明を繰り返した。 首相は昨年11月7日の衆院予算委員会で、台湾有事は自衛隊が集団的自衛権を行使できる存立危機事態に「なり得る」と答弁した。歴代首相の答弁ラインを逸脱しており、台湾を「核心的利益」と位置付ける中国の習近平政権は猛反発。日本への渡航自粛を呼び掛け、レアアース(希土類)の対日輸出規制を強化して圧力をかけ続けている。 首相は有事発言の直後の予算委で「今後は特定のケースについて明言することは慎む」と釈明。木原稔官房長官は今月6日の記者会見で、台湾に関する中国の主張を「十分理解し、尊重する」と明記した72年の日中共同声明に触れ「何ら変更はない」と語った。首相を支える保守層は中国への警戒感が強い。発言を撤回すれば岩盤支持層の失望を招きかねないと懸念しているとみられる。 中国側はかたくなだ。9月に訪中した自民党の岩屋毅前外相は、共同声明の趣旨を確認することで「事実上の撤回」とするよう王毅共産党政治局員兼外相に提案。王氏は「日本の指導者が解決すべきだ」と改めて撤回を要求した。 首相は18、19両日にアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため訪中する。習氏が務める議長は、各国首脳と会談するのが通例だ。2014年に北京で開かれた同首脳会議では、安倍晋三首相(当時)の靖国神社参拝などのあつれきを抱えながら日中首脳会談が実現している。 だが、日本政府高官は「中国側の姿勢は依然厳しい」と指摘。外務省幹部は「首脳会談はないだろう。高市政権の間は厳しい」と漏らした。
