初の女性事務総長誕生か=国連、中南米から秋ごろ選出
【ニューヨーク時事】グテレス国連事務総長が2026年末に任期満了を迎えるのを前に、秋ごろに次期事務総長の選出が予定されている。国連総会と安保理は「女性候補推薦の検討を」と呼び掛けており、80年の歴史上初めての女性総長誕生が期待されている。選出は出身地域の持ち回りが慣例となっており、次回は中南米。同地域からは現在、3人の立候補もしくは推薦が発表されている。 25年末時点で正式な立候補手続きを進めている唯一の候補が、アルゼンチン出身のラファエル・グロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長(64)だ。出馬表明会見では、ウクライナ侵攻開始後、ロシアが占領するザポリージャ原発の安全確保に尽力してきたとアピール。東京電力福島第1原発の処理水放出の際、関係国の調整に当たったことも挙げ、リーダーシップに自信を見せた。 一方、チリ政府はミチェル・バチェレ元大統領(74)の推薦を発表した。女性初の同国大統領、国連女性機関(UNウィメン)の初代事務局長などを歴任。国連人権高等弁務官在任中の中国・新疆ウイグル自治区視察の際、中国側に忖度(そんたく)したと批判を受けたが、退任間際の22年8月末に人権侵害を認定する報告書を公表した。その際、複数の国から「とてつもない圧力をかけられた」と明かしており、拒否権を持つ安保理常任理事国の中国が選出に反対する可能性もある。 コスタリカのチャベス大統領は女性初の国連貿易開発会議(UNCTAD)事務局長、レベッカ・グリンスパン氏(70)を推薦。経済学者でもあり、副大統領や国連開発計画(UNDP)副総裁を歴任した。チャベス政権とトランプ米政権との距離の近さがグリンスパン氏に有利に働くとの観測もある。 16年の選挙も女性選出を望む声は大きく、女性7人を含む13人の候補が出馬。慣例では東欧からの選出とされていたが、最終的には西欧ポルトガル出身で男性のグテレス氏が選ばれた経緯がある。今回も米国やロシアは「能力優先」の立場を示しており、性別や地域が必ずしも優先されるとは限らない。 事務総長は各国のエゴに向き合う「世界で最も難しい仕事」と呼ばれるが、次期総長は国連が過去最悪と言われる財政難に直面し、「機能不全」も指摘される中で組織改革のかじ取りも任される。思惑が交錯する中で進められる選出プロセスは、組織の方向性を映し出す鏡にもなる。
