生い立ちの影響、限定的に=「宗教的虐待」言及せず―山上被告判決・安倍元首相銃撃事件

2026/01/21 20:36配信【時事通信社】

 安倍晋三元首相銃撃事件で、山上徹也被告(45)に無期懲役を言い渡した奈良地裁判決は、被告の不遇な生い立ちを認めつつ、事件への影響については限定的に捉えた。弁護側が主張していた「宗教的虐待」への言及はなく、検察側が主張した社会的影響の大きさにも触れることはなかった。 被告の生い立ちを巡り、判決はまず、母親の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への入信をきっかけに「被告は家庭内で安息の場所を得ることができなかった」と言及。兄の自殺をきっかけに、被告が教団に対して激しい怒りを抱いたことは「理解が不可能とは言えない」とした。 しかし、教団への怒りから殺人を決意し、手製銃を製造したことには「大きな飛躍がある」と疑問視。教団幹部への襲撃が実現しないなど、犯行を思いとどまる機会は複数回あったとし、「自らの犯罪行為を正当化し、他者の生命を軽視する態度が顕著だ」と批判した。 刑の重さを判断する際は、まず犯行の態様や結果、動機など、犯罪行為自体に関わる事実で量刑の大枠を決定し、それ以外の事実で刑を微調整するとされる。弁護側は、生い立ちが動機に直結すると訴えたが、判決は「背景や遠因となったことは否定できない」としつつ、犯行の意思決定に大きな影響を及ぼしたとは認めなかった。 その上で、背後から襲撃した態様の悪質性や、安倍氏以外にも被害者が出る恐れがあった危険性、手製銃を製造した計画性に言及。銃器を使用した他の事件と比較しても「最も重い部類に属する事案」と指摘し、無期懲役が相当とした。 一方で判決は、選挙期間中に首相経験者を銃撃した社会的影響の大きさに関して言及しなかった。判決後の取材に、裁判員の一人は「判断するときに余計なファクターが入らないよう、元首相という立場を考えないようにした」と語った。 


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