小泉氏、対中距離に腐心=防衛費「宿題」背負う
【シンガポール時事】小泉進次郎防衛相は31日、アジア安全保障会議に合わせたシンガポール訪問を終えた。最終日の演説では中国による「新型軍国主義」批判に反論。しかし、表現には細心の注意を払い、過度な刺激を避けた。小泉氏は3日間の訪問を通じて緊密な日米同盟をアピールしたが、米国からは防衛費増額要求を突き付けられ、重い「宿題」を背負い込む形となった。 「核兵器と戦略爆撃機を大量に保有する国が、いずれも持たない日本を『新型軍国主義』と呼んでいるとしたら、おかしいと思わないか」。小泉氏は31日の演説でこう語った。名指しは避けたものの、中国が念頭にあるのは明らかだ。 小泉氏は「認識の違いや摩擦は生ずる。その時に必要なのは、相手がいないところで事実に基づかない主張を繰り返すことではなく、直接、率直に話し合うことだ」と強調。一方、別のくだりでは参加を見送った中国国防相に「今回会う機会がなかったことは率直に残念だ」と語り掛けた。 小泉氏が表現に気を配ったのは、中国の対日批判を放置できない一方、高市早苗首相の発言で悪化した日中関係を改善する糸口をつかめていないためだ。トランプ米大統領の訪中を機に米中関係が改善基調にあることも背景にある。 防衛省幹部は「中国に関する表現ぶりは直前まで考えた」と語り、トーンの調整をぎりぎりまで続けたと明かす。演説後の質疑では中国の出席者から第2次世界大戦中の行動に関する謝罪を求める声が上がったが、小泉氏は直接答えず「日本の(対話の)扉は常に開かれている」と強調した。 日本が中国と向き合う上でカギを握るのが米国の姿勢だ。30日のヘグセス米国防長官の演説の際は、最前列に陣取った小泉氏が質疑応答で真っ先に司会者の指名を受け、「米国の揺るぎない(アジア)関与は確信しているが、一部の国々では過小評価されている。地域に安心感を与えるメッセージをもらえるか」とヘグセス氏に水を向けた。 質疑応答は研究者らが質問をぶつけるのが通例で、閣僚の発言は異例。防衛省関係者によると、小泉氏の意向を受けて調整に当たったという。小泉氏としては強固な日米同盟を印象付けると同時に、軍事的な重心を中東に移しつつある米国のつなぎ留めを図る狙いがあったとみられる。 もっとも、ヘグセス氏は演説で、アジアの同盟国に国防費を国内総生産(GDP)比3.5%に引き上げるよう要求。特に日本に対しては「同盟強化のために共に役割を果たす必要がある」と一段の負担を負うよう求めた。防衛費増額は演説後に行われた日米防衛相会談でも議題となった。 国防費を巡り、オーストラリアは3%、韓国は3.5%などの目標を掲げる。日本政府は国家安全保障戦略など安保関連3文書を年内に改定する方針だが、自民党内では数値明記に否定的な声が強い。防衛省幹部は「米国は高いレベルの貢献を求めている」と気を引き締めるように語った。
